映画化漫画『私をくいとめて』のネタバレ＆あらすじ！揺れる30代女性の「このままでいいの？」に共感

2021-03-13

小説『私をくいとめて』を私が読んでみた感想や見どころをお伝えします。共感できるネタバレを含むあらすじもチェックしてみてください。

『私をくいとめて』は、綿矢りさが原作者です。朝日新聞出版の『朝日文庫』で連載されています。黒田みつ子は一人暮らしの三十代。勤め先ではたくさんの人とコミュニケーションを取らなくてはいけないし、一緒に遊ぶ友達もいるし、たまに実家に帰るので、一人で生きることに抵抗はなく、おひとりさま生活を満喫中。それに私の頭の中にはもう一人の私「A」がいて、悩みは彼女に相談しています。同世代の女性の気持ちが書かれた作品です！2020年にのんさんの主演で映画化されました。

まだ全巻読んだことがない方は『私をくいとめて』を無料で読める方法やお得に読める方法もありますので、チェックしてみてください。細かい部分まで描写されていて心に響きますよ。

『私をくいとめて』書籍情報

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『私をくいとめて』のネタバレ含むあらすじ

小さい頃はおままごとセットが好きでよく半分に切れるミニ野菜シリーズで遊んでいた黒田みつ子は３３才になった今、１人で食品サンプルを作ることが出来る講習に来ていました。

１人で食品サンプルの講習会に行くことに何の抵抗もないみつ子は、講習会に来ても誰かと話すことはありません。話す相手は常に頭の中にいる“A”です。

“A”はみつ子の気持ちを察するのが上手でした。その理由は何を隠そう、“A”はみつ子自身だからです。”A”が出てくるようになったのはついつい夜更かしをした日のことでした。

みつ子は１人で生きていくことになんの抵抗もありませんでした。１日の大半を過ごす勤め先にはたくさんの人がいるし否応にも彼らとのコミュニケーションをとらなければいけません。休日も時々一緒に遊ぶ友人はいるし、実家にもたまには帰ります。また気に入った場所にも１人で行くのが自分の趣味でもありました。

普段は仕事場でたくさんの人といることが多く、むしろ１人になる時間の方が少ないと思うみつ子にとって帰宅後の１人の時間が貴重な時間でついつい夜更かしをしていました。

ある日、深夜２時を過ぎてもソファに沈んだまま動けなくなり、テレビの青白い光だけがリビングを照らし、ごく小さい音量で番組の声が聞こえてくるだけでした。他は静まり返っている中で自分だけが起きているような錯覚になり辺りはひっそりとしていまます。テレビの放送が終わり画面も真っ暗になってもみつ子はただぼーっと真っ暗なテレビを見続けました。

ベットに移動してもいいのにソファに寝そべったまま同じ体勢で少しも動く気がしないみつ子がうとうとしていると、ベットで眠るように促す穏やかな思いやりがある声がみつ子に話しかけてきます。

いったい誰が自分に話しかけているのかと戸惑いながらも何故かその声はずっとそばにいたような不思議な感覚に陥ります。その声はみつ子に真夜中に沈黙に身を浸すようなことをしないで欲しいと言います。その理由は孤独を感じやすくなるからだと続けて言いました。

頭の中の声は続けて言います。真夜中に感じた孤独は忘れられないと言い、更にはっきりと孤独を意識してはいけないと言います。孤独と気づいてはいけないのかとみつ子が尋ねると頭の中の声は気づくのはしょうがないが上手く逃げてほしいと言います。逃げなければ孤独について変に意識してしまうとも言いました。

孤独を意識した途端になんて深い海に泳いでいたんだろうと息苦しくなっていしまうと言います。そうすると何もかも不自然な動きになってしまい溺れてしまうと頭の中の声はみつ子に警鐘を鳴らし早く寝るように勧めます。

みつ子はその言葉を信じていいのか分からないので、その声に尋ねます。その声は信じても信じなくても構わないと言います。しかし常にみつ子にとって最善の策を考えていると言いました。

それから色々なことを尋ねてもどれも的確な回答が返ってきます。みつ子は的確でみつ子のために様々なアドバイスをしてくれる頭の中の声を信じることにしました。

何でも答えてくれることから“ANSWER”の頭文字をとって“A“と呼ぶことにし、みつ子は事あるごとに話しかけていくのです。

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『私をくいとめて』の見どころ

この作品の見どころは不思議な“A”という存在です。読んでいるうちは“A”は明らかにみつ子自身だと思います。しかし“A”はしっかりとみつ子を客観的に見ているのです。だからこそみつ子がごまかしている本音の部分にも的確に指摘してるし、みつ子に対するアドバイスもみつ子が実践できそうな寄り添った答えになっています。

“A”という存在がいったい何なのかと気になる内容で読んでいて面白いです。最初に“A”が出てきて以来、事あるごとにみつ子は“A”に話しかけます。みつ子自身であるのにも関わらず的を得た励ましの答えが返ってくるので本当に不思議で、続きが気になる展開になっています。

“A” のアドバイス通りにやっていくとみつ子の日常が変っていくのもすごく面白いところだと思います。そして変っていくみつ子は次第に“A”と話すことがなくなり“A”は出てこなくなります。

それはみつ子の成長を表しており、そのみつ子の成長もこの作品の見どころなので注目ポイントです。変ったみつ子にが“A”と話すことがなくなり、生身の人間と向きあおうとしていく姿もこの作品の見どころの１つだと思います。

『私をくいとめて』を実際読んだ感想

この作品の孤独感に触れているシーンは本当に印象的で感銘を受けました。それは自分もみつ子に似ている部分があるなと思ったからです。

みつ子は表立っては孤独ではないんですよね。仕事仲間はおり、休日一緒に遊べる友達はいます。１人でも充実した時間を過ごすことはできるのですが、ふとした瞬間に孤独がやってくるときがあるんです。その点は本当に自分にも当てはまるなと思いました。

孤独の原因は自分でもよくわからないので行き場のない感情に陥るのですが、この作品の“A”がいうように孤独感って気づくと息苦しくなってしんどくなるのですよね。真夜中だと更に孤独が強調されているようで本当に「息苦しい」という言葉がピッタリです。

その表現が読者に分かりやすいように書いてあるので共感する人も多いと思います。それから“A”のアドバイスが始まるのですが、“A”の言葉づかいが丁寧なので自分の中にスッと入り込んできて、すんなり受け入れることができるのでその点は良いところだと思います。

“A”のアドバイスはこの本の魅力的な点でもっともっと“A”の言葉が聞きたくなり読み進めてしまいます。悩める女性や独身女性には特にオススメできる本だなと思いました。