無料で読める『ラクダ使いと王子の夜』のネタバレ＆あらすじ！砂漠で始まる純愛の物語

2021-04-22

BL漫画『ラクダ使いと王子の夜』を実際に読んでみたネタバレを含むあらすじをお伝えします。感想や幻想的な世界の見どころもご紹介！

『ラクダ使いと王子の夜』は、緒川千世が原作者です。リブレの『ビーボーイコミックスDX』で掲載されました。青の民と呼ばれるキャラバンの少年・カマルは、ある日、砂漠で倒れていた青年を助けました。しかし目を覚ました青年は、大事な持ち物がなくなっていることに気付き、カマルが盗んだと怒鳴りつけて立ち去ってしまいます。悲しくて涙が出てしまうカマルでしたが、隊長に諭され、その日の夜すぐにキャラバンは旅立つことになりました。ところが村に戻ったカマルのもとに、アルファルドと名乗る青年が現れて…。キャラバンの少年と砂漠で出会った青年の純粋な恋の物語。

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『ラクダ使いと王子の夜』漫画情報

『ラクダ使いと王子の夜』のネタバレ含むあらすじ

主人公、カマルは「青の民」と呼ばれるキャラバンの一員です。運んだ塩を金と交換し、その金で食料や生活品を調達する彼らは、交易地の間の小さな湖のほとりに村を作って暮らしています。ある日、カマルは旅の途中で倒れている男を見つけました。砂漠で倒れたものは助からないから放っておけと言うキャラバンの隊長に逆らって、カマルは男をラクダの背に乗せて助け出します。

街についてもカマルは男をずっと看病していました。目を覚ました男は自分の持ち物をカマルが盗んだと勘違いし、返してくれと怒鳴ります。ショックを受けたカマルに隊長はよくあることだから気にするな、と言いました。カマルは親友であるラクダのサディークに男が目を覚まして良かった、と言いながらも人間は難しい、と言って泣いてしまいます。その後、男は自分の持ち物が市場で売られているのを発見し、カマルが犯人ではなかったと知り自分はなんということをしてしまったのだと悔やみます。もう一度カマルに会わねば、と男は思いますが、カマル達のキャラバンはもう街を出発してしまった後でした。

カマル達が暮らしている村に、ある日客人が訪れます。それは先日カマルが助けた男でした。男はアルファルドと名乗り、市場視察に行く途中で砂嵐にあったところをカマルに助けられたのだと言います。先日の非礼を詫び、お礼をしたいという男にカマルは最初何もいらないと言いますが、カマルが体調が悪いことを知るとアルファルドは彼の自宅で療養することを提案します。キャラバンの隊長の言葉やサディークの後押しもあり、カマルはアルファルドの家で療養することを決めました。

アルファルドと一緒に過ごすうちに、カマルは彼の夢について知ります。乾いた地に地下水路を張り巡らし、水と緑で溢れる地にすることが夢だと語るアルファルド。アルファルドなら出来るとカマルは言いますが、同時にカマルにもどんなに小さくてもやらなければいけないことがあると考えました。カマルは彼のやるべきこと、キャラバンでの仕事を全うしに村に戻ることを決めます。

村に戻ったカマルが見たのは餌を食べずに弱ったサディークと人の居なくなったテントでした。海路が盛んになった影響でキャラバンの需要も減り、村の人間も減る一方だと言うのです。隊長達の話の一部分を聞き、サディークが売られてしまうと勘違いしたカマルは村を出る決意を固め、砂漠へと出ました。

砂嵐に襲われ意識を失ったカマルが目を覚ますと隣にいたのはアルファルドでした。アルファルドはサディークがカマルをここまで運んでくれたと言います。そしてカマルをアルファルドの元まで運んだサディークは力尽きてしまった、とも。自分を責めるカマルにアルファルドはサディークが繋いだ縁をこれから自分たちが繋いでいかなければならない、自分と幸せになってくれ、と言いました。カマルは泣きじゃくりながらもうなずき、二人はともに生きていくことを決めたのでした。

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『ラクダ使いと王子の夜』の見どころ

このお話の舞台は中世イスラム世界の架空の国です。キャラバンや砂漠、そこに関わって生きる人々の様子を幻想的に、しかしどこか現実的に描いています。カラーイラストや表紙の色使い、人物や建物、景色の描き方、全てがとても綺麗だと感じました。

作品の中に「アルファルドはおとぎ話の中の王子様だったんだね」とカマルが言う場面があります。アルファルドは実際には王子様ではありませんが、ふかふかの寝床があって、出てくる料理は数え切れないほどで、お風呂はバラの香りがする、そんなアルファルドの家はカマルにとってはおとぎ話の世界のようなものでした。作品を読んでいる私も、幻想的で非日常的な、けれどもどこかにあるかもしれないような、そんな絵本を読んでいるような気持ちになりました。

生きていかなければいけない現実に疲れてしまった時、ふと非日常感に浸りたくなった時、他にも様々な時に思い出してページをめくりたくなるような一冊だと思います。

『ラクダ使いと王子の夜』を実際読んだ感想

独自の世界観にぐいぐいと引き込まれるお話だな、と言うのが第一の感想でした。中世イスラム世界の架空の国、という世界設定もそうなのですが、綺麗ではかないような、それでいてどこか現実的なような世界観に読んでいて一気に魅了されます。また、カマルが作品の中でも言っていたように、まるでおとぎ話のような風景も描かれており、その中で繰り広げられる淡い恋のお話に切なくなりました。

また、この作品は短編集の中の一作品であり、同じ漫画の中に様々なお話が収録されています。他に収録されている三作品はどれも現代日本が舞台のものです。ある少年たちの夏を描いた「溺れる魚」、歪んだ兄弟のあり方を描いた「いびつな欠片」、ねじ曲がった親子の関係を描いた「くさった螺旋」と、様々な愛の形、感情の動きが描かれた作品を一冊の漫画の中でで楽しむことができます。一冊の漫画で様々なテイスト、様々な世界観の作品を楽しみたい、という方にこそ自信を持ってお勧めできる一冊なのではないかと思いました。

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