全巻無料で読める！『美醜の大地～復讐のために顔を捨てた女～』のネタバレ＆あらすじ！

2020-10-012021-01-15

漫画『美醜の大地～復讐のために顔を捨てた女～』を実際に読んだネタバレを含むあらすじや感想、みどころをご紹介しています。

『美醜の大地～復讐のために顔を捨てた女～』は、藤森治見が原作者です。ぶんか社の『ストーリーな女たち』で連載されています。樺太で生まれ育った市村ハナ（いちむらはな）は、醜い顔のせいで、高島津絢子（たかしまづあやこ）がリーダー格の女子グループからいじめられていました。そして、彼女たちによって、退学に追い込まれ、さらに家族の命までも失うことに…。絶対に許さない。彼女たちを地獄の底に引きずり落とすまでは。顔を変え、別人に生まれ変わった女性の復讐を描いた作品です。

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『美醜の大地～復讐のために顔を捨てた女～』漫画情報

 

『美醜の大地～復讐のために顔を捨てた女～』のネタバレ含むあらすじ

全身を包帯に包まれた痛々しい姿の女性に、看護師が優しく声をかけました。整形により生まれ変わった自分との対面も、包帯を外しにかかる看護師の声も、市村ハナにとっては半信半疑でした。醜いと言うだけで、いわれのない悪意を受け、苦しめていた自分の顔が無くなったと言われる中で、静かに包帯は外されていき、久方ぶりの外気に肌が触れていきます。

そんな中で自分の顔を作り変えてくれた天才外科医の男は、誕生祝と言いながら、一つのモノを手渡してくれました。それは精巧に作られた、かつての醜い自分の顔の面でした。静かにその顔を見つめながら、包帯が外されたハナの素顔に、かつての醜さはありません。艶やかで麗しく、そして愛らしい顔立ちをした、人形のような見目麗しい美女の顔で、かつての醜い自身の顔をあつらえた面を見ながら、ハナは沸々と憎悪を募らせていました。

自分を徹底的に罵り、馬鹿にし、いわれのない罪で陥れた彼女たち。そのせいで悪人として周囲から侮辱を受け、全てを奪われ、優しい母親や、愛らしい弟をも死に追いやったと、沸き起こる憎悪で理性が壊れてしまう程に、ハナはあいつらを……特にそのリーダー格だった高嶋津絢子を破滅に追い込まなければ、自分は生き残った意味がないと、かつて自分がされた事の悪意に憎悪を燃やしていました。

全てはあの地獄の高校生活が始まりだったと、ハナは辛いあの頃を思い出します。第二次世界大戦で困窮していた混迷の時代。樺太で過ごしていたハナは、特待生として名門校へと進学するも、そこでいわれのない差別を受けて過ごし、また容姿が醜いが為に周囲から偏見の眼差しを向けられていた彼女は、苦労知らずのお嬢様達の格好のイジメの標的にされ、いつも陰湿な虐めを受けていました。

その虐めの中でも特に陰湿だったのは絢子とその取り巻き達の虐めでした。弁当箱にミミズを入れ、それを無理矢理に食べさせようし、また自分の名前をかたり、男に襲わせるなど、あまりにも陰湿すぎる虐めに、ただ耐えるしかなかったハナ。

でも今を我慢してこの学校を卒業すれば、女手一つで育ててくれた母親や、弟のこれからの為に役立つと、必死に食い下がりながら、日々の虐めを耐えていたハナでしたが、執拗な程に虐めを重ねた絢子たちは彼女を退学へと追い込んでいきます。

ある日、生徒と教師の貴重品や私物が盗まれる事件が起き、その犯人に仕立てられてしまったハナは、必死に無実を訴えるも信じてもらえず、教師に一方的に犯人にされてしまい、退学処分として学校を追われてしまいます。盗みの罪を着せられ、母親に泣きながらに自分ではないと訴え、母親はそんなハナを不憫に思い、彼女を責めることなく暖かく迎えてくれました。地獄の虐めから解放され、これで良かったのだと、家の為に働こうと決めたハナでしたが、動乱の波によってそれは簡単に壊されてしまいます。

終戦を告げる玉音（ぎょくおん）放送が流れ、日本が負けた矢先、樺太にソ連軍の進行が始まり、街は戦禍に包まれてしまいます。本土へと脱出する為に避難船へと乗り込んだ中、かつての因縁の相手である絢子とその取り巻きに、泥棒となじられ、それを知った乗客や乗員達に追い出され、次の避難船を待たなければいけなくなったハナ達。

次の避難船へと乗船するも、ソ連軍によって船は撃沈されてしまいます。母は命尽き海底へと沈み、弟だけでも救おうと命からがらに浜まで泳ぎ着くも、努力は虚しく弟も命を落としてしまいます。なんで自分がこんな目に合わなければいけないのかと、大切なものを失ったハナは、怒りを込み上げさせ、今まで自分を虐め、ついには家族にまで手をかけた絢子たちを許せずにいました。

絶対に復讐をしてやると誓ったハナは、その日から自分の身体を売る娼婦となり、顔を隠しながらに金を必死に稼ぎました。男の欲望を食い物にし、金を稼いでいた彼女は、ある夜、自分を買った男から、闇でどんな手術でもやってくれる腕利きの外科医の話を聞きます。ドイツ帰りで、戦時中は軍の研究機関にいた彼は、全くの別人の顔に作り変える手術をするらしいと。話を聞いたハナは決心し、その医師と出会い、復讐の為に別人にしてほしいと整形を願い出たのです。

ハナの復讐心に興味を持った医師によって美しい容貌を手に入れ、絢子とその取り巻きを破滅へと追い込む事を決意したハナは、亡き母と弟に必ずあいつらを地獄に落としてやると誓い復讐の道を歩み始めました……

『美醜の大地～復讐のために顔を捨てた女～』の見どころ

醜悪よって虐げられてしまう、そんな言われなき差別に苛まれ、そして家族を奪われてしまうヒロイン・ハナの復讐劇となる「美醜の大地」は、混乱する戦後を舞台にし、儚くとも力強さを魅せるハナの報復が見どころとなる作品です。

ハナをイジメていた女達は、醜いと言うだけでイジメている救いがたい人間性で描かれています。ハナを死なせた事に罪悪感を抱かず、何事も無かったように平穏に過ごしている中で、ハナの悪意によって破滅を迎えていく内容は、静かな報復劇とも言える展開で進んでいきます。

憎い相手が自分から破滅するように仕向け、周囲から孤立させ、また事故で命を落とすなど、それぞれに相応しい死にざまを選んでいくハナですが、自分が行った復讐で、意図せず誰かを傷つけてしまったり、幼い子どもを危険にさらしてしまったりすることで、彼女の中に葛藤も生まれます。復讐を果たす事で快楽を得るのではなく、悩みながらも後に引けないと、追い詰められてしまうハナの葛藤は見どころです。

『美醜の大地～復讐のために顔を捨てた女～』を実際読んだ感想

美しさを持つ者は優遇され、醜いものは冷遇されてしまうと、本来はそれはしてはいけないと思うも、美醜によって区別され差別されてしまうと、そんなどうしようもない容貌と容姿で苦しめられていくヒロイン・ハナの復讐劇となる内容は、読んでいて心が苦しくなります。

昭和の戦後の時代と、混迷の中で懸命に生きていかなければいけない、他人に気を配る事の出来ない時代の中で復讐を誓ったハナは、せっかくに美しい容貌を持つも、過去の事を忘れずにただ復讐の為に生きる姿は、母親や弟の死に憑りつかれた悪鬼の如くと、その報復は計り知れない凄さがありました。

しかし相手を追い詰める事で、誰かが犠牲になってしまうと、他人を傷つける事へのジレンマや、またハナによって報復され、人生を狂わされた女の復讐と、連鎖を産む報復と復讐は、人間の醜さと美しさの是非と価値観を、内面と外面の二つから描き、本当の美しさと本当の醜さが描かれたヒューマニックなピカレスクロマンの作品として、とても楽しめました。

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